三角関数の定義より,sin, cos, tanについて次の公式が成り立つことが解る。
また定義より,あるいはグラフを見ることにより,cosx = sin(x + π/2)であること,すなわち余弦関数(cos)は正弦関数(sin)の位相がπ/2だけ進んだものであると理解することができる。
一般に三角関数について,位相がπ/2の整数倍だけずれたとき,次の変形公式が成立する。
その他三角関数についてはいろいろな公式が成立しているが,その基礎となる最も重要な公式は,次に示す加法定理である。
証明
まず,0 ≤ α ≤ 2π, 0 ≤ β ≤ 2πの場合について示す。
図のように単位円周上に点A, B, C, Dをとる。各点の座標を求めると,A(1, 0), B(cosα, sinα), C(cos(α + β), sin(α + β)), D(cosβ, -sinβ)となる。
△OACと△OBDは合同であるから,AC = BDである。
ここで
よって
ここで より
条件より,sin(α + β) ≤ 0, sinαcosβ + cosαsinβ ≤ 0であるから
またにおいて,βのかわりにπ/2 - βを代入すると
よって
において,βのかわりにπ/2 - βを代入すると,同様の計算で次式
がでる。
では次にα, βが一般の角でも定理が成立することを示す。
θ1, θ2 を0以上π/2以下の角として,α = θ1 + n1π/2, β = θ2 + n2π/2と表しておくと
右辺は,n1 + n2がどのタイプの整数かにより,公式の4つの場合に分かれる。
例えば,n1 = 4m + 2型,n2 = 4m + 3型とすると,n1 + n2 = 4m + 1型となり
このとき
よって
が成立している。
残りのsin, cosに対する公式も,同様に考えればよい。tanの加法定理については,sin, cosの加法定理を利用して求めることができる。
問1 加法定理の証明において,
(1) *1, *2の部分を計算せよ。
(2) n1 = 4m + 1型,n2 = 4m + 2型 とするときcosの加法定理が成立することを確かめよ。
問2 sin, cosの加法定理を使って,tanの加法定理を示せ。
問3 cos(7π/12)の値を求めよ。